クラゲと、名前にクラゲが入っているクシクラゲ、キクラゲ、イシクラゲ、ゾウクラゲそれぞれの違いについて解説します。
門が違えば全く別の生き物
生き物には門、綱、目、科、属、種といった分類レベルがあります。日常生活でなじみがあるのは目、科の2つぐらいでしょうが、この上の分類段階である門と綱は、目や科より大きな区分となります。
例えば、人間や犬猫は「脊索動物門」に属しています。ミミズやプラナリアは環形動物門に属しています。これらは基本的なボディープランからして非常に大きな違いのあるものです。
クラゲとクシクラゲの違い
さて、クラゲと偽クラゲ軍団の話に戻りますが、クラゲはイソギンチャクやサンゴと同じ刺胞動物門に属しています。一方、クシクラゲは有櫛動物門と言うグループに入っています。クシクラゲは確かに透明なので一見クラゲのようですが、体の表面に櫛のような繊毛があり、それが細かく動くことで光を反射し虹色に輝くと言う共通の特徴を持っています。これはクラゲにはない特徴です。逆にクラゲに共通の特徴である刺胞という組織は、クシクラゲにはありません。
クラゲとゾウクラゲの違い
ゾウクラゲは軟体動物です。カタツムリ、ナメクジ、ウミウシ、サザエなどの巻き貝(腹足類)の仲間です。
細長い、食事に使われる器官である吻(ふん)を持っており、これがゾウの鼻のようなので、象クラゲです。
よくウミガメに食べられています。
クラゲとキクラゲの違い
キクラゲは、中華料理や酢の物で人気の食材ですが、きのこです。
きのこは木に生えますよね。なので、木クラゲです。
きのこは「菌界」に属する菌類で、真核生物の中で動物界・植物界に並ぶ分類階級です(正確に言えばこれは古い話ですが…)
つまり、クラゲとは界レベル(門より一つ上の分類段階です)で違う生き物です。
クラゲとイシクラゲの違い
イシクラゲとは、雨上がりに地面に落ちている緑のヌメヌメです。はっきり言ってキモいです。
あれは、ネンジュモです。中学で習ったかと思いますが、数珠のように丸いものがつらなっている藻がありましたね。あれの仲間です。
イシクラゲはバクテリア(真正細菌)で、動物ではありません。
さきほどキクラゲはクラゲとは界レベルで違うと書きましたが、イシクラゲは原核生物で、真核生物ですらありません。
この記事で登場したクラゲ軍団の中では、最もクラゲとかけ離れている生き物です。
まとめ
日本における生物の名前(和名)において、透明でぐにゃぐにゃとした生き物は、たびたびクラゲと言う名前をつけられます。
クシクラゲ、キクラゲ、イシクラゲ、ゾウクラゲは、皆クラゲの名を持ちますが、生き物としてはクラゲとは全く別物です。
逆に言えば、日本人にとってクラゲがそれだけ身近であるということです。