【学生向け】タンパク質の階層構造をわかりやすく解説

タンパク質とは

タンパク質の機能は化学構造によるものである。語源はプロテイオスで最も重要なものの意味である。蛋白質の蛋は鳥の卵を表している。DNAはRNAに転写されコドンがアミノ酸を呼び蛋白質を作るが、他の三大栄養素である脂質と炭水化物はDNAに直接書かれていない。脂質と炭水化物はタンパク質によって合成される。またヒトの遺伝子は2万個だが身体の中のタンパク質は10万種類存在する。1つの遺伝子が複数のタンパク質をコードしているのだ。

タンパク質の分類

・骨格を作る
ケラチン(髪、爪の死細胞の中に溜まっている)
コラーゲン(骨、軟骨、皮膚の細胞の隙間に存在する)

・酵素
ペプシン(胃液に含まれるタンパク質分解酵素)
トリプシン(膵液に含まれるタンパク質分解酵素)
リパーゼ(膵液に含まれる脂質分解酵素)
アミラーゼ(唾液に含まれる糖質分解酵素)
リゾチーム(唾液や涙に含まれる糖質分解酵素、溶菌作用を持つ)
ラクターゼ(乳糖分解酵素、欠乏で牛乳の消化不良を起こす)
※目に見える実験:ヨウ素デンプン反応
じゃがいもにイソジンを加えると青紫色を示し、アミラーゼを加えると色が薄くなる

・情報伝達
エリスロポエチン(造血を促す)
インシュリン
※ホルモンはタンパク質ホルモンとステロイドホルモンがある

・抗体

・膜タンパク質
ロドプシン(光を感知する)
蛍光タンパク質
不凍タンパク質

タンパク質の階層構造

1次構造:構成しているアミノ酸の種類とその配列(ペプチド)
2次構造:αヘリックス、βシート、ターンの構造
3次構造:アミノ酸鎖がおりたたまれた構造
4次構造:3次構造の会合体

・1次構造
アミノ酸は2種類ある。我々の体にあるアミノ酸はL-アミノ酸で、D-アミノ酸は非天然である。疎水性のものと親水性のものがある。

アミノ酸20種類のうち、人間の体内で合成できないものは必須アミノ酸と呼ばれる。バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、トリプトファン、フェニルアラニン、スレオニン、リシン、ヒスチジンの9種類が必須アミノ酸で食品からとる必要がある。

二つのアミノ酸のそれぞれカルボキシル基のOHとアミノ基のHが水になり、残りの部分は結合する。これが脱水縮合である。

アミノ酸が1-4個繋がったものはそれぞれモノペプチド、ジペプチド、トリペプチド、テトラペプチドと呼ぶ。10個や20個程度繋がったものをオリゴペプチドと呼ぶ。

・2次構造
αヘリックス、βシート、ターンなどがある。
αヘリックスは、あるアミノ酸とそれから4番目のアミノ酸が水素結合している安定な構造で、このとき原子同士の距離は3.5Å以下である。
シートはアミノ酸の鎖が2本水素結合で繋がっている平面構造である。2本の向きが同じパラレルと逆のアンチパラレルが存在する。
αヘリックスとβシートを繋ぐU字の部分をターンと言う。

髪の毛のケラチンはヘリックスのらせん2本が二重らせんを作っている。この構造をコイルドコイルと言う。

・3次構造
3次構造のルール
①最も安定な構造に折りたたまれる(側鎖間での結びつき。疎水性の部分が内側に向く)
②2次構造の組み合わせで構築されている

側鎖間の結びつきの例
・ジスルフィド結合
・静電的相互作用(+/-)
・水素結合
・疎水性相互作用

最初の鎖そのものの状態が変性状態、2次構造が部分的にある状態が中間体、完全に折りたたまれた状態が天然状態で、天然状態は機能を持つ。折りたたまれたタンパク質をドメインと呼び、繋がって非常に大きなタンパク質になる。ドメインひとつで機能を示すものも繋がって機能を示すものも存在する。

・4次構造
3次構造が繋がったもの。
4次構造を持つタンパク質はヘモグロビンの他にDNAポリメラーゼ、イオンチャネルなどがある。

酵素

酵素は基質に対して極めて特異性が高い触媒のことを言う。元々は基質の構造に似ている鍵穴で、結合すると鍵にぴったり合うように変化する(誘導適合モデル)。酵素の鍵穴を活性部位と言う。
酵素の活性部位の特徴は、直径約10Åの3次元的なくぼみであること、特殊な微小環境にあること、全体積中の一部(直径にすると全体の10分の1ほど)であること、基質との結合は原子配列によって決まることである。

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