統計レポート課題の例「共働き世帯の増加と調理食品の消費拡大の関係について」

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共働き世帯の増加と調理食品の消費拡大の関係について

はじめに

近年、日本における調理済み食品の存在感が増している。「中食」という言葉は、家庭で手作りの料理を食べる「内食」、飲食店で食事をとる「外食」の中間に位置し、スーパーやコンビニで購入した料理を家庭で食べることを意味する。2017年には、フランスの冷凍食品専門店「ピカール」が出店し話題となった。筆者はこのような種類の食品の伸びが共働き世帯の増加に由来するのではないかという疑問を持った。本稿ではこの疑問について検証してみたい。

総務省の調査に基づく調理食品の消費と共働き世帯増数の推移

図表1は、総務省の家計調査を用いて作成したもので、1世帯当たり年間の「調理食品」品目の支出金額を表している(単位は円)。ここでは共働き世帯に着目するため、単身世帯を含む総世帯のデータではなく、二人以上の世帯のデータを使用した。

無題2
図表1 「調理食品」の推移
「家計調査」(総務省)を基に作成

「調理食品」は弁当など一般的に家庭や飲食店で行うような調理の全部又は一部を行った食品であり、冷凍調理食品、レトルト食品及び複数素材を調理したものも含める。すなわち調理の手間を省きながら家庭で利用できる製品である。

次に、共働き世帯の増加を見る。

無題3
図表2 共働き世帯率の推移
「労働力調査」(総務省)を基に作成

図表2は労働力調査(詳細集計)から作成したもので、「夫婦のいる一般世帯」のうち、夫婦共に就業者である世帯の占める割合を表している。2011年は東日本大震災の影響により全国データが取れていない。

調理食品の消費拡大と共働き世帯増加の関連

二つのグラフを見ると、両者とも2012年から伸びが大きくなっており、相関があると予想される。
以下では相関係数を計算していくが、時系列データではトレンドが存在する場合相関係数が大きくなり関係が不明瞭になるため、まずはトレンドを除去する。

無題4
図表3 トレンドを除去した「調理食品」の推移
「家計調査」(総務省)を基に作成

無題5
図表4 トレンドを除去した共働き世帯率の推移
「労働力調査」(総務省)を基に作成

図表3,4はそれぞれ図表1,2から近似式を算出し、実際のデータと近似式による値との差を示したものである。
これらから散布図を作成すると図表5のようになる。2011年に関しては、欠測理由がランダムであるため除去法により対処した。

無題6
図表5 調理食品の消費と共働き世帯率の相関
「家計調査」「労働力調査」(総務省)を基に作成

相関係数は0.866677183となっており、調理食品の消費と共働き世帯率の間には強い正の相関があることがわかった。このことは因果関係を説明するものではないが、共働き世帯率が高くなるほど1世帯あたり調理食品の消費が増えるのは、主婦であった女性が働きに出ることにより家事に割ける時間が減少し、家での食事や会社・学校に持参する弁当に調理食品を利用するようになることが原因だと考えられる。

おわりに

一人あたりの調理食品の消費拡大と共働き世帯数の増加について、トレンドを除去した上で相関係数を算出すると0.867という高い数字が出た。これは、主婦が仕事をするようになることで料理にかけられる時間が減少し、既製品への需要が高まった結果であると考えられる。より詳細に因果関係を考えるために、調理食品を利用している共働き世帯にその理由を尋ねるアンケート調査の実施などを行うことを今後の課題としたい。

出典
・「平成28年家計調査結果」(総務省統計局)(http://www.stat.go.jp/data/kakei/2016np/index.htm)(平成30年1月8日に利用)
・「平成14年労働力調査結果」「平成15年労働力調査結果」「平成16年労働力調査結果」「平成17年労働力調査結果」「平成18年労働力調査結果」「平成19年労働力調査結果」「平成20年労働力調査結果」「平成21年労働力調査結果」「平成22年労働力調査結果」「平成23年労働力調査結果」「平成24年労働力調査結果」「平成25年労働力調査結果」「平成26年労働力調査結果」「平成27年労働力調査結果」「平成28年労働力調査結果」(総務省統計局)(https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00200531&tstat=000000110001&cycle=7&tclass1=000001040286&tclass2=000001040292&tclass3=000001040293)(30年1月8日に利用)

【課題を行っての感想】
普段の日常生活では、例えば共働き世帯の割合を知りたいとき、Google検索で出てきた結果をそのまま見て利用するなどしていたが、それらは誰かが何らかの目的で加工したものであり、きちんとした分析をするためには、自ら出典に当たり目的に応じた加工を行う必要があることを痛感した。また相関係数について、トレンドがある場合相関係数が過剰に大きくなってしまうことを知り、想像以上に慎重に扱わなければならないことが分かった。

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