WW2での冬戦争と継続戦争を描いた歴史フラッシュ「フィンランド戦記」感想※素人目線

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私は高校のとき日本史選択で世界史はまったく素人なのですが、少しは勉強しようと思ってフィンランド戦記という動画を見ました。
40分程度の動画です。
フィンランド戦記1「雪中の奇跡」 (フィンランド独立~スオムッサルミの戦い)


フィンランド戦記2「氷上の死闘」 (~冬戦争終結)

フィンランド戦記3「大戦の狭間」 (独ソ戦・継続戦争)

フィンランド戦記4「スオミの未来」 (~WW2終結・戦後)

私はフィンランドのことはムーミンとサルミアッキくらいしか知らない無知すぎる人です!
素人なりにおもったことがあるので内容をまとめつつ感想を書きます。

フィンランドは長い間他の国の統治を受けていたのですが、WW1末期にロシア革命の混乱に乗じて独立しました。
1939年ソ連はあの独ソ不可侵条約で独ソ間での東欧分割について約束し、フィンランドはソ連の勢力圏にあることを確かめました。
すぐにドイツがポーランドに侵攻しWW2が始まります。ソ連は密約の通りポーランドを攻めバルト3国を侵略した後、主権に関わる要求を出してフィンランドに圧力をかけます。
人口の20%を占める歴史的に重要な都市カレリアの割譲と、首都ヘルシンキにほど近いハンコ半島の、ソ連の軍事基地建設のための貸与です。
フィンランドは要求を飲まず交渉は決裂しました。そして冬戦争が始まります。
当時フィンランドは人口370万の小国でした。対してソ連は1億7000万人を抱えます。
当然戦力差は大変です!兵員はフィンランド19万人にソ連45万人、戦車はフィンランド30輌にソ連2385輌でした。
圧倒的な戦力差の中小学校の校長先生まで使って対抗するマンネルヘイムさん見事でした。この校長先生(ヤルマル・シーラスヴォ予備役大佐)が強いんですよね~。
また戦争にスキーや自転車を使っているのにも驚きました。調べたらスキー部隊は今もあって冬季オリンピックのバイアスロンに出たりしているらしいです。つくづく無知を思い知ります;
冬戦争では気候の力もフィンランドに有利に働きました。最低気温-40度の日が続く極寒の中での戦争でした。
一説によるとソ連軍の戦死者の80%は凍死によるものと言われているそうです。
冬将軍にしても神風にしても自然の力は強いなあと月並みも月並みなことを思いました。
フィンランドはこの冬将軍と、地の利と機動力を活かした包囲戦術モッティでスオムッサルミの戦いに勝利し、雪中の奇跡と呼ばれています。
コッラーの戦いではコピペで有名な白い死神シモ・ヘイヘが活躍します。ヘイヘ含む32名のフィンランド兵が4000名の赤軍を撃破しました。

このように善戦した(当初この戦争は1週間で終わると思われていました。それが105日も続いたのです)ものの、
ソ連の戦力増強もあり、フィンランドは物資不足に陥りました。
フィンランドを支持していた各国は支援を行うのですが、イタリアとハンガリーの支援はナチス・ドイツが妨害しました。
さらにナチス・ドイツは北欧諸国に圧力をかけ、スウェーデン・ノルウェー・デンマークに英仏の支援物資の通過を許させませんでした。
フィンランドは孤立し、モスクワ講和条約でカレリアを割譲することになります。
ソ連は市街地への爆撃を糾弾されて(ユスインベロ違反)国際連盟から蹴られていますが、停戦には影響しませんでした。
フィンランド軍の士気は高く、講和直前になってもまだ戦えると声が上がっていました。
だからこそ、今講和をしなければならない。戦う力を失った後の講和は完全な屈服だけだ、とはマンネルヘイムの言です。
本当に的確な判断ができる人です。

講和後、独ソは支配を広げていきました。フィンランドは、唯一残った中立の隣国・スウェーデンと同名を結ぼうとしますが、敗戦国への対応は冷たいものでした。
フィンランドの孤立はさらに深まります。
シベリウスはフィンランディアを作曲し国民を勇気づけました。

フィンランドは、ナチス・ドイツの支援を必要としていました。もはやフィンランドを援助できる国はドイツしか残っていなかったのです。
ですがドイツの援助を受ければ独ソ開戦の際ソ連の攻撃を受けることは免れません。中立ではいられなくなります。
結局、フィンランドは枢軸国ドイツの援助を受け入れ、ドイツ軍の国内通過も許可しました。

1941年独ソ開戦です。フィンランドはドイツの同盟国としてではなく、共通の敵を持つ共戦国として継続戦争を戦います。
戦略目標はカレリアの奪回と、ソ連が作った傀儡政権の打倒でした。
フィンランド軍の士気はやはり高く、3ヶ月で当初の戦略目標をほぼ達成しました。
ドイツもモスクワ攻略を進めていたのですが、冬将軍が訪れソ連の反撃を受けました。モスクワ攻略は断念されました。

大戦の中、世界の人々は翻弄される小国フィンランドの孤独を忘れ、ナチスに与するただの侵略者とみなすようになっていきました。
ハーケンクロイツと、フィンランド独立の際に贈られたハカリスティは、別物なのです。

独ソ戦はドイツの劣勢が色濃くなっていきました。
フィンランドは戦争から離脱しソ連と講和することを考え、極秘裏に計画をすすめます。
枢軸国は次々と破れ、テヘラン会談で戦後処理が話し合われました。
勝利を悟ったソ連は、戦後の勢力圏で英仏に遅れを取らないようドイツ侵攻の前にフィンランドを攻撃します。

ソ連軍はドイツとの戦いで洗練されており、フィンランドはおされます。
ソ連の新兵器に対抗するにはドイツの援助が不可欠でした。
しかし、フィンランドが内密に講和の交渉を行っていることはドイツに伝わっていました。
援助を受けるには、分離講和を行わずドイツと共に最後まで戦うと約束しなければなりませんでした。
フィンランド大統領リスト・リュティはドイツとの共闘を宣言します。
このときのリュティ大統領が…もう…!

1944年6月、枢軸国は各地で戦いに敗れ壊滅します。
フィンランドはドイツの援助のもと暗号解読、モッティ、鹵獲したT34で抵抗し、ソ連はフィンランドへの攻勢意欲を失っていきました。
ソ連は講和に応じる旨を伝えます。
しかしフィンランドは枢軸国ドイツと協定を結んでいます。協定を結んだリュティ政権下では連合国は講和を認めません。
そこでリュティは用意していた対応策を出します。
リュティは、ドイツの援助にはすべてフィンランド代表としてではなく個人名義でサインをしていました。
自分個人がナチスに依存していたことにしたのです。
ナチスに傾倒していたとあっては連合国の裁きを受けます。死刑になるかもしれません。実際、ソ連は死刑を求刑しています。
祖国を守るために死を覚悟して戦争責任を一手に引き受けたのです。
もう、かっこよすぎて涙が出ます。愛国者ってこういう人のことです。
彼はナチスとの交渉の全責任を負って大統領を辞め、マンネルヘイムに席を譲りました。
フィンランドは、ドイツとの関係はリュティの個人的なものであり、現政権は親独ではないことを強調して講和を行いました。
条件は冬戦争時よりも厳しいものでした。

その後枢軸国は敗北を重ね、主要枢軸国の降伏で大戦は終わりました。
フィンランドは敗戦国で唯一分離講和を行い、独立を守りました。
講和後、フィンランドはソ連との協定により国内のドイツ軍と戦わなくてはなりませんでした。
そしてソ連の厳しい内政干渉を受けました。
マンネルヘイムは、ソ連の要求に大幅な譲歩を行い、国内や外交が親ソであるように装いました。
1951年、マンネルヘイム大統領は病で死去しました。
彼の遺体は国葬で葬られました。
そして彼が残した外交路線は引き継がれ、フィンランドの基本方針となりました。
しかしフィンランドの人々の心までがソ連に従属しているわけではありませんでした。
禁固10年を執行され、牢獄の中で他界したリュティを、ソ連の猛烈な反対を退けて国葬で送り出したのです。

陳腐な言葉ですが、感動しました。
リュティさんはもう言わなくてもいいですよね。
フィンランド国民にも・・・
名作です。

それとこれも素人目線で申し訳ないのですが、ミリタリーはとてもかっこいいですね。
きっと国の中でいちばんの有能な人たちが集まってやっていることの塊だからだと思います。
厳しい競争の中自然選択を受けてきた生物たちの戦略に感嘆するのと同じです。

またこの動画はフィンランドが主人公ですが、ソ連やナチを悪いとは感じませんでした。
思想に優劣はありません。勝てば官軍です。どの国も自分の国の国益のために必死だったのだと思います。

平和ボケの私にとってとてもいいものでした。
製作者様に感謝です。

コメント

  1. […] ・本当なりが死ぬなら(散々死んでるけど)リスト・リュティさんみたいなのがいい フィンランド国民が国葬したのも含めてパロってくれたら感涙 […]

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