【ギッフェン財】価格が上がっても需要が減るとは限らない!経済を感覚で語ることのナンセンスさ

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日常においては、値上がりしたものを見ると買いたくなくなりますよね。
「価格が上がると需要が減る」というのは感覚的に当たり前のことのように思えます。
実際、高校の教科書では、需要曲線は右下がり(経済学では独立変数を縦軸に取るというめんどくさい慣習があります)として教えられています。
写真 2015-12-20 22 33 13.jpg
東京書籍『政治・経済』(26年度版)より
ですが必ずしもそうなるとは限らないのです。

経済学では消費者は最適化行動をとると仮定します。

(他の変数は固定として)ある財の価格が上がるとき、消費者に対して二つの効果が発生します。
一つは所得効果、一つは代替効果です。

代替効果は価格効果とも言いますが単純に、他の財とくらべてより高くなることで需要が減ることです。

予算制約式というものがあります。 P(1)*x(1)+…+P(n)*x(n)≦I と表される式です。
P(n)はn個の財それぞれの価格、x(n)はn個の財それぞれの購入数です。Iは所得です。
消費者はこの式を成り立たせないx(n)の組み合わせで消費を行うことはできません。
ある財の価格が上がると、予算制約式の係数が上がります。
すると消費者は相対的に貧乏になり需要を減らします。これが所得効果です。

ここで、財には正常財と劣等財があります。
正常財は所得の増加に伴って購入量が増える財(外食など)、劣等財は所得の増加に伴って購入量が減る財(カップラーメンなど)です。
これらは別の言い方をすると所得弾力性が正であるものと負であるものです。
所得弾力性とは一言で言うとケチ度です。所得がx%増えて購入量がy増えると、所得弾力性はy/xです。
ちなみにこれが0超過1以下であるものを必需財といいます。野菜などで、所得が増えたからと言って増分以上に買いすぎることはない財です。
1以上のものは奢侈財(しゃしざい)です。贅沢品などです。0である(購入料が所得に関係しない)ものは中立財です。たとえばトイレットペーパーです。

値上がりした財が劣等財であれば、相対的な所得の減少により購入量は増え、…①
同時に、値上がりした財が他の財に対して相対的に高価になるので、値上がりした財の購入量は減ります。…②

①②より、購入量は増えもしますし減りもします。二つの効果の符号が逆なので、結局購入量が増えるかどうかはどちらの効果が勝るかによります。
ここで所得効果が勝ると、値上がりしても売上が上がる奇妙な財が生まれるのです。
言い換えれば所得弾力性がものすごく低い財です。
グラフは面倒なので作っていません。気が向いたらやります。

このように、価格が上がると需要が減る、という需要法則に当てはまらない財をギッフェン財と言います。
実在するかは議論のあるところですが(アイルランドの歴史を二分したジャガイモ飢饉におけるジャガイモがそうではないかと言われています)、理論的にはあり得ます。

経済はたくさんの変数が絡み合っているので、直感で捉えるのはとても困難なものです。
消費を行う際はそんなことを気にしなくてもなんとかなるのですが、経済そのものを語る際にはモデルが必要なのです。
※この文章をしっかり読んでくださった方なら、「では価格が上がったときの効果は本当に所得効果と価格効果の二つだけなのか?」と疑ってくれるでしょう。私がグラフを書くのを嫌がったからです!

もし経済について語りたいなら、勉強しましょう!

『ミクロ経済学の力』おすすめです。大学1年生の教科書にもなっている本です。
数式が多く登場するので厳密です。非常にわかりやすく面白いですよ!

補足その1
ヴィトンのバッグはギッフェン財ではありません。
ブランド品は値段の高さそのものにも価値(効用)があります。
つまり効用関数にPが入っているのです。
ギッフェン財は上述したように所得効果が価格効果を上回る財のことです。
土地など投機的商品も、効用関数にPが入っています。

補足その2
補償需要は、財の価格が上がると絶対に増えることはありません(非正)。証明は略します。
これは、補償需要が「一定の効用を達成する最も安上がりな消費計画」のことだからです。
補償需要関数では所得は所与ではありません。固定されているのは効用のほうです。
補償需要関数においてある財が値上がりすると代替効果のみが発生します。
その財で得られる効用は変わらないのに価格が上がるというなら、他の財に回したほうが効率的です(他の財が高いものばかりで、値上がりした財を買うお金で買えない場合は値上がりした財の需要は変わりません)。

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